木力館のとりくみ

SDGsのとりくみ

2024年度、開智小学校4年生 製材見学と木工体験 木力館編

夏本番の暑さですが皆様どのようにお過ごしでしょうか。
今回は前回に引き続き、開智小学校の生徒さんに実施した特別授業の様子をお届けします。

前回の授業から3週間後の令和6年6月20日(木)、開智小学校4年生の皆さんが今度は木力館きりょくかんにやって来てくれました。

バスから降りてきた生徒の皆さん。
楽しみにしていたのでしょうか、わくわくした表情であたりを見回します。

まずは、館長と職人さん達にご挨拶。
今日が生徒の皆さんにとって新たな学びに満ちた日となるよう願っております。

 

あいさつの後は、さっそく授業の始まりです!
今回は2班に分かれて、製材見学と木工体験を行いました。
前半組と後半組のそれぞれが最初の体験場所へと向かいます。

一方の組では、丸太の製材加工見学から授業が始まりました。

生徒さんの見つめる先には大きな機械があり、台のような部分に丸太が横たわっています。
この機械は帯鋸おびのこといい、丸太を製材するための機械です。
前回のカンナかけ体験では年数の多い木材を使用しましたが、この日の授業で生徒さん達は木材になる前の木の状態を確認できました。
館長の説明を聞いた後は、帯鋸が丸太を製材する様子を見学します。台車の上に乗っている丸太が板状の木材に製材されていきました。
製材時は木の香りが辺り一面に広がり、生徒さん達はその香りにとても驚いていました。

見学の中で、館長から丸太を製材した時に中から出てくる木の節について説明がありました。丸太の中心に近い板材ほど、表面に節が多いそうです。
実は節は、かつて枝だったものの痕跡です。木は内から外へ年輪を広げながら成長していくため、木の年輪が少ない頃に生えていた枝は新しい年輪に飲み込まれて行きます。こうして年輪に飲み込まれた枝は、木が板材となった時、節となって現れるのです。

製材加工見学を通して、生徒さん達は節や香りといった木の特徴を知りました。節が見えてくる場面や香りを感じる場面を体験したことで木の成長を感じ、同じく命ある生き物として木を意識することができたのではないでしょうか。

 

製材見学の後、生徒さん達は木力館内を見学しました。

   

木力館の螺旋階段を元気に上り下りし、沢山の木材資料や「木の卵のプール」に触れる皆さん。
木材建築のもたらすあたたかさが詰まった木力館の中で、生徒の皆さんは話したり遊んだりしながら、その空気を存分に感じ取っているようでした。

 

いよいよ授業も終わりに近付いてきました。この日の授業の最後に行ったのは、埼玉県産の木材を用いた『箱作り』木工体験です。

テーブルの上には木材がずらりと並んでいます。生徒の皆さんはこれらの木材をのこぎりで切り、釘ととんかちを使って箱を組み立てました。

 

時に職人さんにサポートをしてもらいながら、最後のサンドペーパーを使ったやすり掛けまで、生徒さん達は着実に箱を作り進め、完成させることができました。

同じ木を用いた体験でも、生徒さん達は先日のカンナかけ体験とは違った発見をしました。
木は生きている素材です。では、私たち人間はその素材を使って何を作っていくべきでしょうか。材料を扱う中で、物に対する認識や、それらを消費して新たにものを作り上げることの責任が浮かび上がってくるかと思います。
子供の頃から自分の️消費活動を見つめる姿勢を養っていくことで、自身の指針をしっかりと持ち、責任をもって物事に取り組める大人に成長することができるのではないでしょうか。

幼少期のかけがえのない時間の中で自然素材と触れ合うことは、自分の暮らす土地や環境について考える視点に繋がります。
今回の現地見学では、生徒の皆さんは丸太が板材になるまでのプロセスを見ることで、森林が持続可能な社会を支える基盤であることを体感しました。また、木工体験では社会を根底から支える木をどのように扱うかを、箱作りの作業を通して考えました。
今回得た気付きを日常の中でも意識し、自分にはどんな行動ができるのか、日々問い続けて行ってほしいと願います。

生徒の皆さんの過ごす未来がより明るいものとなるよう、木力館も精一杯サポートをして参ります。今回の特別授業は、持続可能な社会を作り出す大きな一歩となりました。