館長 木を語る

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11.「良い木」の選び方のコツとは?

今回は、良い木の選び方のコツについて、お話しさせていただこうかと思います。

前回のお話しの中で、木の価値は樹齢、とお話ししました。では、一般ユーザーは木の樹齢をどのように判断すればいいのでしょうか。

木の樹齢を知る方法は幾つか有ります。木口(木の切断面)を見て木の年輪を数える方法がそのひとつです。しかし、この方法は材を切り出した部分によって年輪が分かりづらい場合も有ります。
木の樹齢を知る一番良い方法、それは木の香りを嗅ぐ事です。
木は同じ樹種でも樹齢が高くなればなるほど、香りが強くなります。若い木(樹齢20~30年程度の木)は香りは強くないです。高樹齢の(100年以上育った)木の方が、香りは強いのです。

木力館館内展示、柱材比較用サンプル。樹齢10年の材と、20年の材。年輪の密度の違いがわかりますか?

10年や20年そこらの「若造」の木では、香りも強くないし、構造材としても大したものではないです。一方で200年や300年も経った木は強い香りを放ち、構造材として立派にはたらきます。構造材の他、天井材、壁、床材としても使われます。
この違いを、皆様にはぜひ分かって欲しいのです。

木の香りは木の「あぶら」に由来します。このあぶらが、木の粘りや強度、杢目の美しさに繋がると、館長の私(材木屋のおやじ)はこれまでの経験からそう考えています。
つまり木のあぶらが強いと言う事は香りが強いので、木の樹齢、材としての良し悪しを判断するには、木の香りの強弱を嗅ぎ分ければ良いのです。

ところが、材を高温で人工乾燥すると、木のあぶらが抜け落ちてしまいます。当然、人工乾燥材は香りが無垢材と全く違います。本来の香りが無くなる程加熱した材は、もはや無垢材ではなく「新建材」と同じようなものだと館長の私(材木屋のおやじ)は考えます。

構造駆体に使用する程の太さの材を人工乾燥する際には、芯まで乾燥させる為に高温(130℃程度)で1週間程掛けて加熱します。  例えば130℃の高温の中に植物を入れたら、植物は生きていられると思いますか?
それを考えれば、人工乾燥材と天然乾燥材のどちらが良いかはおのずと答えが出てくると思います。

皆様は、如何お考えですか?