関東ではいよいよ本格的な梅雨のシーズンとなり、蒸し暑い日が続きますが、皆様如何お過ごしでしょうか。
さて、先日TV東京系列で放映されました「TVチャンピオン2」、今回は大工王選手権でした。我々、材木や建築に関わる者として、興味深く拝見しました。
「TVチャンピオン2」ホームページ
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ここでひとつ、疑問を呈さざるを得ないシーンが有りました。「継ぎ手強度対決」です。確かに分かりやすく強度の差を“見せる”には、ああするしかなかったのかも知れませんが……。
普通、継ぎ手と云うものは直交して組む柱のすぐ近くにつくるものです。TVで何も知らない視聴者に分かりやすく“見せる”為に、長い一本の柱の真ん中で継ぎ手を組んでいますが、継ぎ手を負荷が掛かる中央部分でやる事はまずありません。そうする必然性が無いのです。むしろあれでは負荷が掛かってどんな材を使っても、組み方をしても折れてしまいます。
普通、継ぎ手と云うものは直交して組む柱のすぐ近くにつくるものです。TVで何も知らない視聴者に分かりやすく“見せる”為に、長い一本の柱の真ん中で継ぎ手を組んでいますが、継ぎ手を負荷が掛かる中央部分でやる事はまずありません。そうする必然性が無いのです。むしろあれでは負荷が掛かってどんな材を使っても、組み方をしても折れてしまいます。
ある程度の長さの材を適切な長さの割合で使って、柱の近くで継ぎ手を組めば、強度はぐっと増します。TV画面では、何故300kg足らずの垂直方向の負荷で折れてしまうのかと言う事に際し、視聴者は「やっぱり木材は弱い(鉄骨の方が強い)」とか「職人の技でこんなに差が出るんだ」などと安直に考えてしまうかも知れませんが、実際の施工では、あの様に負荷が掛かる(組み方をした)時点で、(設計段階から)おかしいと考えるべきなのです。木材の“強さ”は決して安直に計れるものではないのです。1たす1が2にも4にも8にもなる、それが伝統工法による木造住宅の素晴らしさであり、それをつくる職人の技と心意気なのです。
まあ、いわゆるひとつの「バラエティ番組」なのであまり枝葉末節に茶々を入れても仕方ないのですが、勘違いされては困る部分もあったので、あえて言わせて頂きました。不快に思われた方には申し訳なく思います。
ただひとつ言えるのは、今回優勝した若い職人さんに限らず、出場した大工さん達の腕は皆確かなものだということです。最近ではああいう伝統工法を受け継ぐ職人さんも減り、その伝統工法を発揮する場もとんと減りましたが、日本が誇る伝統の技を、これからも広めていく意味で、職人の皆さんをこれからも応援していきたい気持ちでいっぱいです。
最後になりますが、あの優勝した職人さんの十八番(オハコ)だった大阪城大手門の継ぎ手は、我が木力館に同様のものを常設展示しておりますので、興味をお持ちになった方は是非木力館までお越し下さいませ。お待ちしております。
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まったくの素人ですがテレビチャンピオン 俺も見ていました 金輪継ぎ 大栓継ぎ等を いとも簡単に刻む 大工さん達に感動しました
杉材で折れなければテレビ的に評価できないので あのような荷重の掛かり方するところに 継ぎ手は使わないと思いました それより一発で釘を打ち込むゲームは何の為にって思いましたが
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コメントありがとうございます。
仰る通り、内容的に「?」と思う箇所が幾つかありましたが、
TVバラエティ番組なので仕方ないのかなと思っております。
それにしても、大工さん達の技術力の高さにはただただ感服するばかりです。
近年はああいう素晴らしい技術を発揮する場も減っていますが、
是非とも次の世代に継承していって頂きたいものです。